IH加熱の説明

IHの特徴と利点

1.直接加熱

  • 加熱効率が高い(熱効率80~90%)
  • 高温の加熱が可能(容器・治具など600℃前後の加熱が可能)
  • 周辺機器が高温にならない(火傷などの心配がない)
  • 化学反応を引き起こさない
  • 真空中でも加熱が出来る
  • ガスの雰囲気中で加熱が出来る

2.制御性が良い

  • 操作性が良い
  • 自動化が容易
  • 設備の小型化

3.エネルギー密度の調整が可能

  • 急速(高速)加熱ができる
  • 局部加熱ができる
  • 加熱分散が可能

結論

上記の特徴から、

“加熱精度を上げられる”

IH加熱の原理

加熱コイルに電流を流すと磁力線が発生します。 その上部にワーク(磁性体)を置くと、ワークに渦電流が流れワーク自体が発熱します。 高周波IH加熱は、20kHz~50kHzの電源装置の加熱用インバータとワークコイルで 構成されます。

IH加熱コイルの例

IH加熱コイルには、次のような種類があります。

丸型コイル

応用例
  • 平板加熱

円錐型コイル

応用例
  • るつぼ形状容器加熱
  • 球体容器加熱
  • 中華鍋形加熱

角型コイル

応用例
  • 平板加熱

R型コイル

応用例
  • 回転ドラムの加熱
  • R型容器の加熱

ラセン型コイル

応用例
  • パイプ加熱

上記のコイルを組合わせる事も可能です。

丸型コイル組合わせ

応用例
  • 分散加熱
  • 容器複数加熱

丸型・角型の組合わせ

応用例
  • -

IHインバーターの種類

IHインバータは、被加熱物に電磁誘導をかけるために最適な周波数25kHz~50kHzの電源を作り出す装置です。 当社では、市販されているIHインバータ(下記表)を使用し、お客様のご要望により 加熱に必要とされる熱量を計算(実績例を参考に)し、IHインバータを選定します。 下記表のIHでは対応できない場合、ご相談により専用のIHインバータの製作も出来ます。
また、これだと20kW以上のものは作れないのでは?と、思われる方もおられると思いますが、
7kW × 3台 = 21kW
というように、数台をつなげることによって様々な出力の調整が可能です。
インバータ種類 消費電力(kW) 電圧(V) 周波数(Hz) 相数 容量(kVA) 寸法D×W×H (mm)
2.5kW 2.5 AC180~242 50/60 単相 3.3 290×250×95.8
3kW 3 AC180~242 50/60 三相 3.4 360×340×140
5kW 5 AC180~242 50/60 三相 5.6 360×340×140
7kW 7 AC180~242 50/60 三相 8 365×350×175
10kW 10 AC180~242 50/60 三相 11 465×350×205
15kW 15 AC180~242 50/60 三相 17 565×350×205
20kW 20 AC180~242 50/60 三相 35 610×306×376
※ 参考までに

水1Lを1°C上昇させるために必要な熱量は1kcal 鉄1kgを1°C上昇させるために必要な熱量は0.1kcal。

たとえば、1kWhの熱源では、860Lの水を1時間で1°C上昇させる事が出来ます。 実際の計算では熱損失があります。熱損失分を考慮した熱源を選定する事が必要です。

※ インバータ寸法のD・H・Wは下図の通りです。

IH加熱の応用例

IH加熱の用途には、参考例として次のようなものがあります。

平板、曲げ板の加熱
用途・製品例
化成品関係
金型の加熱、材料加熱、溶剤加熱
各種研究室
加熱機器
製造関係
自動化ラインの加熱、加熱機器の加熱
食品関係
電磁テーブル、グリドル、スチーム・オーブン
使用温度範囲

0~300°C程度

タンク・槽の加熱
用途・製品例
化成品関係
反応容器加熱、その他
各種研究室
反応容器加熱、その他
製造関係
加熱水槽、容器加熱
食品関係
ゆで麺機、フライヤー、容器加熱
使用温度範囲

0~300°C程度

パイプの加熱
用途・製品例

筒状金型加熱、パイプ加熱、流動液体加熱、過熱蒸気発生、空気加熱

使用温度範囲

500°C程度

回転物の加熱
用途・製品例

加熱乾燥、食材の炒め工程、溶剤の加熱撹拌処理

使用温度範囲

300°C程度(但し条件により500°C迄可能)

コンベア
用途・製品例

図のようにコイルを配置することにより、工場の製造ラインなどのコンベアにも応用できます。

※ 移動するワークを停止させ加熱終了後移動

使用温度範囲

200°C迄